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父子の夜
第13章 追憶
「な…なんすか?」
「だから~…産まれたら頻繁にオマエのとこ連れていくからな!」
なんで?という顔つきで田辺を見る鉄平。決して警戒しているわけではない。
「雄平君に似た男の子に育ってもらいたいんだ。雄平君はホントに優しくていい子だ!」
鉄平はモグモグ口を動かしながら、嬉しそうな顔をする。
雄平の良さを解ってもらえるのは自分の事を褒められるより嬉しい事なのだ。
特に、雄平の優しい部分。
それは妻がそう育ってほしいと願っていただけに、嬉しくて涙が出そうだった。
『鉄平、この子の名前…決めてくれた?』
元子の胸に抱かれる、
小さくて、小さくて…可愛らしい、玉のような男の子。
『ま…まだ…決めてない……』
なんとか自分たち二人から名前を取りたいのだが、『元子』と『鉄平』の中から選ぶのは難しく、鉄平は悩み続けていた。
『元平……鉄元……子鉄……』
『ちょっとちょっと』
苦笑いを浮かべる妻に鉄平が噛み付く。
『じゃあ、オマエが決めたらいいだろ』
不貞腐れたように顔を背け、拗ねる鉄平。まだまだガキ臭さが抜けない。