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父子の夜
第15章 満月の夜の獣たち
肉にむしゃぶりつきながらアパートまで辿り着いた二匹。
……いや、二人。
鉄平は焼き鳥のタレで汚れた口元を腕で拭い、いつものように鉄製の錆びた階段を踏みしめながら上る。
まだ少し酔いから醒めていないのか、夜中である事を忘れているかのようだ。
カン…カン…カン…カン…
一方の雄平は、口の周りを焼き鳥のタレで汚したまま鉄平の後ろをついて上る。
ずっと目線は鉄平の背中を見つめたまま、難しい表情を作っている。
「父ちゃんっ…」
階段を上りきった所で雄平は堪らず鉄平の背に抱きついた。
何日も鉄平が「やろう」と言ってくれるのを待ちわびていたのだ。我慢できない。
そんな雄平を抱えあげ歩き出す鉄平。無言でドアの前まで行き、鍵を開ける。鉄平もまた我慢できないようだ。
ガチャン……
ドアを開け中へと入ると、鉄平は雄平のスニーカーを脱がせて玄関に投げ捨てた。
もう見つめ合う暇もなく、それは始まる。
お互いがお互いを求め唇を奪い合うのだ。