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父子の夜
第15章 満月の夜の獣たち
吸い付いていた唇を離し、鉄平は雄平の口の周りを舐める。
すると、焼き鳥のタレの甘辛い味が口の中に広がった。
「とぉちゃ…っ」
尚も分厚く長い鉄平の舌が雄平の口元を這いまわり、雄平は何もする事ができない。
「とぉちゃ…ボクもっ……」
「ダメだ。父ちゃんが先だ。じっとしてろ」
威圧的な口調で制され、涙ぐむ雄平。ただ、まん丸な瞳を潤ませながらも、ずっと鉄平の隙を狙っている。
「んやっ…!」
しかし、鉄平にそれを感付かれ雄平は髪の毛をガシリと掴まれ引き離された。
「んやっ…じゃねぇ。父ちゃんが先だって言ってんだろ?」
表情は怒ってはいない。寧ろ楽しんでいるかのように笑みを浮かべている。鉄平のその表情は、髪の毛を掴まれ身動きの取れない雄平からすれば勝ち誇っているようにも見え、悔しそうに上目遣いで鉄平を見つめた。
「あんだよ、雄平?反抗的な目しやがって。父ちゃんに勝てたら自由にさせてやるぞ?」
「……う"う"ぅ~……」
雄平は抱っこされたまま鉄平に手を伸ばすが、その小さな手は宙を空振る。髪の毛を引かれ、更に引き離されたからだ。