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父子の夜
第4章 俺の息子
「あっ……」
雄平は慌ててTシャツを引き伸ばしブリーフを隠した。
「こんな道端じゃ目立つから、オジサンの車の中で電話するといい。あっちに停めてるから行こう」
雄平はよろけながら立ち上がった。
「オイ待て!この野郎!!」
背後から聞き覚えのある声がして雄平は勢いよく振り返る。
「父ちゃん!!」
雄平は一直線に走り出す。
「とぉちゃ…とぉちゃあん…!!」
体当たりするように抱きついてきた雄平の手から携帯を取り、鉄平は男に投げ渡した。
「俺の息子に近寄るんじゃねぇ!!消えろ!!」
男は言い訳を述べようとしたが、鉄平のあまりの剣幕にすごすごと立ち去った。
その男の後ろ姿から雄平に視線を向けるや、鉄平は雄平の頬を張った。手加減などできなかった。
雄平は地面に叩きつけられる。
「雄平!オマエ!あれほど知らない奴には関わるなって……父ちゃんが言った事忘れたのか!?」
倒れ込んだ雄平に寄り添い胸ぐらを掴んで引っ張り起こす。雄平は小さな声で何度も何度も謝った。
そして、胸ぐらを掴む鉄平の手を震える両手でしっかりと握ると、仔犬のように潤んだ瞳で鉄平を見つめるのだった。