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父子の夜
第5章 そして、始まる
 
 
自己弁護を繰り返しながら、大きな瞳をさらに見開いた雄平を、じっと見下ろす。

すると雄平の震える手が鉄平の脇腹の辺りに添えられた。

その震えが伝染するかのように、
今度は鉄平の体が震えだす。

「父ちゃんっ…」

雄平は、
あの胸ぐらを掴んだ鉄平の手を強く握った時と同じ瞳で……、
鉄平を見つめ返した。


「…い…いいのかよ?」

眉をつり上げ、驚きに見開かれた鉄平の瞳が雄平の頷く姿を捉えた、その瞬間。

雄平は唇を塞がれた。

鉄平に口づけされたのだ。

「…んっ!…んぷっ…んきゅっ!」

雄平の口腔内を鉄平の分厚い舌がうねりを打つ。そして、雄平の舌を捕らえると一体となるように絡み付いてきたのだ。

「もむっ!んぷっ!んむっ!」

口が塞がり息が出来ず、鼻で呼吸する事も忘れる程パニックに陥った雄平。
鉄平の脇腹にあった手は、もがくように震えながら鉄平のタンクトップを強く握る。

小さな指の1本1本が不規則な動きを繰り返し始めた時、漸く鉄平は唇を離した。
真空状態だったのか、ポンッと小気味のいい音が部屋に響いた。

「はぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ」


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