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父子の夜
第9章 求め合う二人
 
全く興味がなさそうに携帯をイジる鉄平だったが、しっかりと聞き耳を立てていた。

雄平をイカせてやりたい……。
そう思いながら。


「そこをチンコで突いてやると、イクぅイクぅ~ってなるわけよ」
「へ…へぇ~…詳しいんすねっ…田辺さん」

田辺は腕組みをして堂々と告白した。

「オレ、男とヤった事あるからな!」
「…………」

シーンとなった。
まだ二十歳の川田と違って、34のオッサンには皆ツッコミにくい。

「なんだよ?一度きりの人生だ。全部経験したいじゃねぇかよ!」
「ハハ…そっすよね~」

田辺はなんとなく鉄平を見ると、鉄平も田辺をじっと見ていた。

「何見てんだ、鉄平?」
「いや、別に…」

鉄平は視線を携帯に戻す。
田辺の過剰な体へのスキンシップを思い出した鉄平は、背筋に寒気を覚える。

「狙、って、ねぇ、ぞ、コラ」

それを見透かしたように鉄平に威嚇する田辺。しかし「あ、そうそう」と、再び話の輪の中に戻った。

「あんまし前立腺刺激し過ぎるとハゲるらしいぜ?」

そう言って、今度はピンポイントで鉄平を見た。
鉄平は田辺の坊主頭を見上げていた。


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