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父子の夜
第9章 求め合う二人
 
しっかりと真横に居た。

「父ちゃん……」

雄平も玉のような汗をかいている。
そして体が火照っているのか、よく見ると顔が赤い。

「雄平、オマエ…大丈夫か?」
「…うん」

鉄平は雄平の額に手を当ててみる。熱はなさそうだ。
ただ、エアコンもなく、窓から西日がまともに射し込む最悪な環境の部屋に1日中いたら熱中症にかかってもおかしくはない。

「雄平、昼間は図書館にでも行ってろよ。ただで涼めるし、本も読めるぞ?」
「……うんっ」

雄平の体を引っ張り、自身の前に立たせる鉄平。扇風機の真ん前だ。

「アイス食ってるか?冷凍庫いっぱい入ってるだろ?」
「今日、1つ、食べたよ…チョコのやつ…」

「そうか…」と鉄平は上の空で生返事する。心ここに在らず、だ。

「もうすぐ学校始まるな」
「…うん」

鉄平の体と雄平の体が密着する部分に、じわりと汗が滲んでくる。
夏場はくっつくのも嫌なはずだが、ピッタリとくっつく二人。

「…………」
「…………」

会話が途切れるのもよくある事。

「そろそろメシでも炊くとするかー……」


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