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父子の夜
第10章 立ち入り禁止
「ちょっと待ってください。いま開けるっす」
鉄平は立ち上がり、脱ぎ去った服を拾いに大股で歩いていく。
ボクサーブリーフを履き、ジーンズに足を通す。最後にタンクトップを着て振り返ったその顔は………、
まるで鬼のような形相だった。
加えて、怒りで顔が真っ赤になっており、まさに赤鬼。雄平はその顔から目が離せずカタカタ震えていた。
「雄平、向こう行ってろ」
雄平を見る目もギラついていて、雄平は頷くと、走って逃げるように部屋へ戻った。
ガチャッ!!
「よ………ぅ」
勢いよく開いたドアの隙間から覗く鉄平の表情に田辺は言葉を詰まらせた。
「なんすか?」
そんな田辺を後退りさせる勢いでドアの外へと出てきた鉄平。
凄みを効かせて田辺を睨み付ける。
「どうした…?中には入れてくれないのか?……俺は立ち入り禁止か?」
乾いた笑いを漏らす田辺。
「散らかってるんで。」
前からお節介な人物だという事はわかっていた。それでも田辺の人柄が好きで、それも気にならなかったのだが……。
(ここまでウザい奴だったとは)
鉄平は上目遣いに凄んだ表情を崩さない。