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父子の夜
第11章 繋がる赤い糸
 
そんな時、

カン…カン…カン…カン……

階段を上る鉄平の足音が聞こえてきた。特徴的な強く踏みしめるような音。

雄平は慌ててTシャツで涙を拭く。そしてドアの前でスタンバイした。
しかし、なかなかドアへ近づいてこない。雄平はドアに耳をつけて外の様子を窺う。

ガサッガサッ…ペリペリペリ………バコッ…ガガガ……ガサッ……ガサガサガサッ………

雄平は思わずドアを開けて飛び出した。

「うおっ!」

階段を上がりきった廊下の端に鉄平が立っていた。何かを慌てて隠したようだ。

「父ちゃん…どうしたの…?」

「別に?」と、澄ました顔で雄平を見る鉄平。
見るからに不審な動きをしたが、雄平はどうでもよかった。…いや、どうでもよくはないが、鉄平が無事帰宅してくれた事が嬉しい。
雄平はすぐにニッコリと笑って、何事もなかったかのように鉄平の元へとやって来る。

「父ちゃんっ!おかえりなさいっ!」
「おう。今日は遅くなったから弁当買ってきたぞ。雄平は唐揚げ、父ちゃんは酢豚な!」


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