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父子の夜
第11章 繋がる赤い糸
 
雄平は大きな瞳をぱっちりと開けて鉄平の顔をまじまじと見つめる。

「そんな目で見ないでくれよ……」

鉄平は真っ赤な顔をして流し台に向かった。そして黙々とディルドを洗い始めた。
いくら新品とはいえアダルトなアレなので念入りに洗う。

今日、帰宅が遅くなったのはそんな物を買いに行っていたからだ。

(こっちでよく慣らしてから、こっちを使う)

日払いしてもらった給料が一気に殆んど飛んでいってしまった。それほど今は、雄平のアナルへ執着している。

「父ちゃん……」

雄平が鉄平の隣に立ち顔を見上げている。
鉄平はその姿を見下ろしながら自分の情けなさにまた顔を赤くする。

雄平はずっと同じようなTシャツばかり着ている。それもヨレヨレで色褪せたようなものばかり……。

「雄平、新学期始まる前に服買いに行こうな!」
「うん……でもボク、これでいいよ?」

家にカネが無い事を理解していて、気を遣う息子が不憫でならない。

(……俺、なんでこんなの買っちゃったんだろう……)

キュポッキュポッ…とディルドの表面を擦る音が虚しく鳴り響く。


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