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父子の夜
第11章 繋がる赤い糸
「ゆう…へい……」
言葉を失ってその光景を眺めていた鉄平は、やっと声を出す事ができた。
その声に、漸く背後の鉄平に気づいた雄平。ハッとして鉄平を見上げた。
「と…とぉ…ちゃ……」
まるでこの世の終わりかのような表情で鉄平を見つめる雄平。
その手からディルドが滑り落ち、ゴロゴロと畳の上に転がる。
「あ…あ……」
雄平は、まん丸な瞳いっぱいに涙を溜めて口をパクパクさせている。何か言い訳をしようとしたようだが、あまりのショックに言葉も発せないようだ。
鉄平はテーブルにコップを置き、雄平を背後からギュウッ…と抱きしめる。
「とぉちゃ…ごめんな…さい……」
「なんで謝んだよ……」
「う…うぅ……」
ディルドを手離した時の形のまま…何かを握っているような形のまま…、
ブルブル震えている雄平の小さな手を鉄平の分厚い大きな手が包み込むように握りしめる。
そして、雄平が落ちつくまでそのままでいた。
今はまだ真夏。玉のような汗がじんわりと肌に浮かび流れ落ちていく。
それでも鉄平はしっかりと雄平を抱きしめていた。