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フレンズ
第1章 フレンズ
栗色に近いふんわりとしたロングヘアは、
カラーとパーマを施したとよく勘違いされる。

おかげで全体の印象は今風で、
軽い女の子に見られがちだ。




「告白しようと思うの」

文香は言って、
不安と喜びが入り混じった顔を上げた。


恋をしている彼女は、
全身に光のかけらを纏っているように
キラキラして見えた。


私はと言えば、
そんな彼女の眩しさに目を細めるように、
くすんだ微笑みを返すのが、精いっぱいだった。


**


翌週。

大学の二号館の一階にある
歴史研究会の活動室には、
すでに富樫克己の姿も、文香の姿もあった。

二人はぎこちない様子で並んで腰かけていた。

その距離は、いままでより近い気がする。



私はさりげなく文香を活動室の外に手招きした。
文香はいそいそと小走りでやってくる。
顔には満面の笑みを浮かべていた。

「その顔はもしかして…?」

訊くと文香はこくこくとうなずいた。

「ありがとうって言ってくれた」

「そっか。カップル成立おめでとう」

私は囁き声で、
けれども弾んだ調子で文香に言って、
両手を握って飛び跳ね合った。

「でもねでもね、交際はしないの。
お互いに好きだってことを確認しただけ」
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