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Call Girl
第4章 Call 4
手術をすれば十分に命は助かるとも言えた。
佳穂と藤堂は翌日にS医大学病院へと行った。
そこの婦人科の医師は女性だった。
その女医からこう言われたのだ。
「初期の子宮頸がんの様です。子宮は全摘出になるかも知れませんが、膣は残しますので性交渉は可能です。ただ、まだ樋口さんはお若いのでこの先、お子さんは望めませんが…それから、手術後に抗がん剤の治療も必要になるかも知れません…」
佳穂は子供を望んでいなかった。
そもそもコールガールの自分が母親になるとは想像もできなかったのだ。
だから、失望感はどこにもなかった。
結婚すら望んではいなかった。
佳穂は心のどこかで自分は幸せになってはいけないのではないか。
と、思っている様だった。
藤堂が話しかけてくる。
「佳穂ちゃん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。それよりも藤堂さんの方が心配よ」
佳穂はそう言うと微笑むのだった。
今日のその微笑みはどことなく寂し気な感じがしている様に見えた。
佳穂の手術は2週間後に決まった。
その間、色々な検査をしてゆくのだ。
クラブでの仕事よりも忙しいかもしれないと思っていた。
藤堂はこの華奢な身体をした佳穂に手術は耐えられるだろうか。
そう思って心配していた。