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Call Girl
第4章 Call 4
自分は幸せになってはいけないのだと、心のどこかで感じていた。
そんな気持ちを持ちながらもこう話した。
「私は、コールガールをしていた女よ。そんな女でもいいの?」
「あぁ、構わない。それは過去のことだろう?」
「そうね。もうコールガールは引退したわ」
「大切なのは今、この時だと僕は思う。1分1秒先の未来でも1分1秒後の過去でもなく、今、この時が大切なんじゃないのかい?僕は今の佳穂が好きなんだよ…」
佳穂はその言葉を聞くと涙が頬を伝って流れてくるのを感じていた。
その姿を見て伊藤はこう言う。
「泣くなよ」
「だって、嬉しいんだもん…」
伊藤はそんな姿を見ると肩を抱きしめてきた。
そして、頭にキスをしてくれる。
「僕がアメリカに行っている1年間は藤堂さんに佳穂を預けるから藤堂さんの言う事をちゃんと聞いててくれよ。約束だからな…」
「ええ、分かったわ」
佳穂はそう言うと涙を拭った。
そして、微笑んでこう言う。
「拓也さんが戻るまでは、しっかりと留守番しているわ」
その微笑みを見ると何故かとても伊藤は癒されるのだと感じていた。
翌週、伊藤はアメリカのシアトルへと赴任していった。
季節は厳しい寒さを迎える11月になっていた。