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Call Girl
第1章 Call 1
「妻とはもう家庭内別居状態さ」
高橋はそう言うと苦笑いをした。
佳穂はどう応えて良いのか分からなかった。
高橋には妻も居て、子供もいて、家や車もある。
こんなコールガールをやっている自分など不釣り合いだと思っていた。
佳穂はこう言った。
「高橋さんのお気持ちは嬉しいです。でも、私はコールガールです。恋愛はできません。それに高橋さんには奥様や子供さんが居ます。仕事だってデザイナーという素晴らしい才能を持っています。車だって家だってある。これ以上何が欲しいんですか?」
高橋はその言葉を聞くと黙り込んでしまった。
佳穂は思っていた。
これは男のエゴなのだ。
どれだけ自分が恵まれているのかを高橋は知らないのである。
それに、高橋が妻子や家、車を捨ててまで佳穂のところに来るとは思えなかったのだ。
高橋はこう言ってきた。
「今日も食事だけでいいから、料金はちゃんと支払うから安心してくれ」
「わかりました」
佳穂はこう言ったものの、複雑な気持ちになっていた。
今日の中華料理はちょっと苦い味がしたと感じていた。
こうして今日もホテルには行かずに終わったのである。