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Call Girl
第2章 Call 2
高橋の時も同じだったと思っていたのだ。
黒崎は酒を飲み寿司を食べ終わるとこう言ってきた。
「今日はありがとな。タクシー代渡すからそれで帰ってくれ」
「え?タクシー代まで、それはいけません…」
「いいんだ、愉しかったから」
そう言うと1万円札を出して佳穂に手渡した。
佳穂は複雑な気分になっていた。
黒崎はそう言うと寿司屋を出て仕事に戻っていった。
佳穂はひとり残された形になっていた。
道行く人の間を縫って走ってくるタクシーを捕まえる。
タクシーの後部座席のシートへ滑り込んだ。
「東急田園都市線の江田駅まで」
そう運転手に話した。
車は走り出した。
佳穂はバッグから携帯を出すと藤堂に電話を掛けた。
呼び出し音が鳴る。
「もしもし…」
「佳穂ですが、今仕事終わりました」
「佳穂ちゃん、お疲れ様。気を付けて帰ってね」
「はい」
そう言うと電話は切れた。
この日も何もなく終わったのだった。