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Call Girl
第2章 Call 2
放心状態の佳穂に尚も藤堂は話してくる。
「黒崎さん、移動で車はいつもタクシーを使っていたらしいんだ。そのタクシーが交差点で出会いがしらに対向車と正面衝突したらしいんだよ。その後部座席に乗っていたのが黒崎さんだったんだ。黒崎さんは即死だったらしいよ…」
佳穂は信じられないと言う声でこう言った。
「そ、それ、ほ、本当ですか…」
声はかなり震えていた。
携帯を持つ手も震えていた。
佳穂はソファーにへなへなと座り込んだ。
にわかに信じる事ができなかった。
つい、先日会って初めてセックスしたばかりではないか。
俺と一緒になってくれと、言ったではないか。
その黒崎が何故死ななければいけなかったのか。
佳穂はその後、藤堂が話す言葉が耳には入ってこなかった。
外は雨が降り出してきていた。
雨音が部屋にまで聞こえてきたのだ。
佳穂は携帯を持ちながら涙を流していた。
電話口の藤堂にこう言った。
「今、ひとりにしてもらえませんか」
藤堂は電話の向こうで「わかった」というと電話を切った。
佳穂はベッドルームに行き、ベッドに倒れ込んで大声で泣いた。
その様子を2匹の猫達は見ていたのである。
外の雨はもっと激しく振り始めていた。