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第3章 　Call 3

（2）クラブ
金曜日の夜の六本木はいつになく賑やかだ。
若い女性たちは駅近くのトイレでそれぞれ好きな服装に着替えている。

それはまるでハロウィンの仮装みたいな感じがした。
みな、黒いミニスカートや短いキャミソール姿で足元はブーツやらヒールやら色々だ。

佳穂はアマンドの横にいた。
伊藤が来るのを待っていたのだ。

アマンドの前は夜の衣装に着替えた若い女性で溢れかえっている。
どこからこんなに大勢の人が集まってくるのだろうと思っていた。

みな、誰かを待っている様だった。
暫くすると、伊藤がやってきた。

「遅れてごめん。待った？」
「いえ、今来たばかりだから」

そう言うと佳穂は微笑む。
その微笑みを見ると伊藤はホッとするのだ。

「シシリーで食事しないか？」
「ええ、いいわ」

シシリーとは六本木に古くからあるイタリアンレストランである。
シシリーは人気が高く、いつも行列が出来ていて混んでいた。

値段もリーズナブルで雰囲気も良く伊藤はとても気に入っていた。
そのシシリーに佳穂を連れて行きたかったのだ。

シシリーに行くと今夜はそんなに混んではいなかった。
とても運が良い二人である。