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Call Girl
第3章 Call 3
二人の間に言い知れない沈黙が漂っていた。
佳穂は伊藤と一緒に居ると黒崎の事を忘れる事が出来た。
そんな伊藤をまたある意味失うのではないかと感じていた。
佳穂は沈黙を破ってこう話す。
「シアトルには何年行くんですか?」
「え?今の所約1年くらいだと思うよ」
「1年ですか?」
「あぁ、1年だね」
「なら、また会えますよね?」
「日本に戻れたらね」
「その時に、また返事をしてもいいですか?」
「そうだね。それでも構わないさ…」
伊藤は珈琲を飲み干した。
そして気を取り直してこう言う。
「佳穂、またこれからランチに行かないか?」
「ええ、行きます」
そう言うと微笑む。
この微笑みももう見られなくなると思うと伊藤は物哀しくなるのだった。
外に出るとかなり寒さを感じる冷たい風が吹いていた。