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S-Horror
第3章 未恋
次の夜、目が覚める感覚で意識が繋がる。

やっぱり会いに行こう。

落とし物はここだよって教えてあげよう。

歩かなくていいのは楽だけど、
ビル風に身体が流されてしまう。
なかなか上手く進めない。
もどかしくて泣きそうになる。

地下鉄の方が早いかな。
あれ?僕のSuicaどこにやったっけ?…

自虐に舌打ちもできない…。
電柱にも掴まれないのに、地下鉄だって…。

でも、会いに行くんだ…

僕は流され、遠回りをしながら奈央の住むマンションへと向かった。

部屋は真っ暗だった。
そりゃそうだ…もうとっくに寝ているだろう。
僕は真っ直ぐ奈央の眠る寝室に向かった。
窓を通り抜けられるのは助かった。

あれ?…いない

ベッドは真っ平らに誰もいない…。
扉を壁をすり抜ける。
リビングにも浴室にもトイレにも…。

奈央は実家にでも行ったのかな?
一人じゃ眠れないのかもしれない。

ちょっと遠いな…

今からじゃ…また朝が来てしまう…。

僕は奈央のベッドで眠ることにした。
少しでも奈央を感じたくて…。
匂いも…温もりも…何も感じない…。

あぁ…だめだ…やっぱり行けるところまで行こう…。




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