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S-Horror
第1章 月光
深夜の道路をスクーターで2人乗り。
怜奈は俺の身体に腕を回し、長い髪を風に靡かせる。
時折、車とすれ違う。
赤色灯を回さないパトカーに間近になって気づいた。
【追っかけて来るか…】
バックミラーに赤い光りは確認できない。
【よかった…気づかなかったのか…】
田舎の学校というのはどうして山の上にあるのだろうか。
俺達の通う学校も例外ではなかった。
けっこうな坂道を登って校門がある。
その坂の手前で聡は自転車を停めた。
美春は後ろの荷台から降りるなり口を開いた。
「私…行かないからね…聡はほんとに行くの…」
「いや、帰ろう…やっぱり彰の奴どうかしてる…」
スクーターで坂道を一気に駆け上がって行く。
校門は鉄の扉に閉ざされていた。
「あれ?…追い抜いたか…」
聡と美春の姿はなかった。
ポケットのスマホを見るとメッセージがあった。
「なんだよ…聡達、やっぱびびりやがって…」
怜奈はどうする?…と問いかけてくる。
「行くに決まってるだろ…明日から2学期なんだから…最後の夏の思い出ってやつ?…」
怜奈はクスっと微笑んだ。
俺が先に格子の門の上まで上がって手を貸してやる。
やはり深夜の学校は不気味だった。
タイマー式の外灯は全て消えている。
校舎の中の非常灯だけが所々ぼんやりと灯っていた。
びゅ~っと風が吹き抜ける。
「なんだ?…怖いのか…」
小さな悲鳴を上げた怜奈が俺の腕にしがみついてくる。
「気持ち悪いよ…ほんとにあの場所まで行くの?……」
「あぁ…幽霊なんているわけないからな…」
スマホの灯りを点けて俺達は校舎沿いに歩き出した。
ファミレスを出る頃は熱帯夜と思われたのに、生ぬるい風が校舎の隙間に音を立てている。
怜奈の髪が風に舞い上がる。
第一校舎の正面玄関口…。
誰もがそこを通りすぎて昇降口を目指す。
丁度、登校する生徒がピークを迎える時間。
唐突に、ドンッと地面に叩きつけられた音がしたらしい。
俺はその瞬間、まだ駐輪場にいた。
正面玄関口には人集りができていた。
教師達が大きな声を張り上げ、生徒達を追い払っていた。
すぐに救急車とパトカーが坂道から敷地内へと入ってきた。
一旦、教室には入ったものの…直ぐに下校することになった。
【あれ?…あの日…怜奈は居たっけ?…】
俺はあの日のことをあまりよく覚えていなかった。
怜奈は俺の身体に腕を回し、長い髪を風に靡かせる。
時折、車とすれ違う。
赤色灯を回さないパトカーに間近になって気づいた。
【追っかけて来るか…】
バックミラーに赤い光りは確認できない。
【よかった…気づかなかったのか…】
田舎の学校というのはどうして山の上にあるのだろうか。
俺達の通う学校も例外ではなかった。
けっこうな坂道を登って校門がある。
その坂の手前で聡は自転車を停めた。
美春は後ろの荷台から降りるなり口を開いた。
「私…行かないからね…聡はほんとに行くの…」
「いや、帰ろう…やっぱり彰の奴どうかしてる…」
スクーターで坂道を一気に駆け上がって行く。
校門は鉄の扉に閉ざされていた。
「あれ?…追い抜いたか…」
聡と美春の姿はなかった。
ポケットのスマホを見るとメッセージがあった。
「なんだよ…聡達、やっぱびびりやがって…」
怜奈はどうする?…と問いかけてくる。
「行くに決まってるだろ…明日から2学期なんだから…最後の夏の思い出ってやつ?…」
怜奈はクスっと微笑んだ。
俺が先に格子の門の上まで上がって手を貸してやる。
やはり深夜の学校は不気味だった。
タイマー式の外灯は全て消えている。
校舎の中の非常灯だけが所々ぼんやりと灯っていた。
びゅ~っと風が吹き抜ける。
「なんだ?…怖いのか…」
小さな悲鳴を上げた怜奈が俺の腕にしがみついてくる。
「気持ち悪いよ…ほんとにあの場所まで行くの?……」
「あぁ…幽霊なんているわけないからな…」
スマホの灯りを点けて俺達は校舎沿いに歩き出した。
ファミレスを出る頃は熱帯夜と思われたのに、生ぬるい風が校舎の隙間に音を立てている。
怜奈の髪が風に舞い上がる。
第一校舎の正面玄関口…。
誰もがそこを通りすぎて昇降口を目指す。
丁度、登校する生徒がピークを迎える時間。
唐突に、ドンッと地面に叩きつけられた音がしたらしい。
俺はその瞬間、まだ駐輪場にいた。
正面玄関口には人集りができていた。
教師達が大きな声を張り上げ、生徒達を追い払っていた。
すぐに救急車とパトカーが坂道から敷地内へと入ってきた。
一旦、教室には入ったものの…直ぐに下校することになった。
【あれ?…あの日…怜奈は居たっけ?…】
俺はあの日のことをあまりよく覚えていなかった。