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Squall(スコール)〜ボクっ娘は雨に濡れて拾われる
第10章 雨女
応接間の様子は二週間前にスミカがここを出て行ってから変わっていないように見えた。立派な革張りのソファー、ローテーブルの上にはノートパソコンと何冊かの本が乱雑に積まれている。
「適当に座れ」
「あ、はい」
スミカと征也は、ソファーに向かい合って腰を下ろした。
「あのう」
「なんだ」
「家政婦さんはまだコロナなんですか?」
彼の視線がノーパソの画面をからスミカの顔へ、まじまじと見つめる。
「あ? なんだと」
「だって征也さんしかいないって」
「そりゃそうだが。おまえがここを出て行ってから二週間経ってる。その間にな、快復した家政婦さんが戻ってきた。戻ってきたんだが、今度は旦那さんの具合が悪くなってな」
「そうなんですね。お気の毒に」
「ああ、まったくな。俺は料理はできんからな。デリバリーも外食にも飽きてウンザリしていた。代わりの家政婦を頼んでいるんだが、なかなか見つからなくてな」
「そうじゃなくてですね」
「あん?」
「僕が"お気の毒に"って言ったのは、征也さんのことじゃなくて家政婦さんに、です」
「適当に座れ」
「あ、はい」
スミカと征也は、ソファーに向かい合って腰を下ろした。
「あのう」
「なんだ」
「家政婦さんはまだコロナなんですか?」
彼の視線がノーパソの画面をからスミカの顔へ、まじまじと見つめる。
「あ? なんだと」
「だって征也さんしかいないって」
「そりゃそうだが。おまえがここを出て行ってから二週間経ってる。その間にな、快復した家政婦さんが戻ってきた。戻ってきたんだが、今度は旦那さんの具合が悪くなってな」
「そうなんですね。お気の毒に」
「ああ、まったくな。俺は料理はできんからな。デリバリーも外食にも飽きてウンザリしていた。代わりの家政婦を頼んでいるんだが、なかなか見つからなくてな」
「そうじゃなくてですね」
「あん?」
「僕が"お気の毒に"って言ったのは、征也さんのことじゃなくて家政婦さんに、です」