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ex-girlfriend
第6章 彼女との結婚〜家族になる
大抵、母親と二人で座っていた頃は広く感じたダイニングテーブルは、
大人四人だと狭く思えた。
そして、ずっと前からそこに居たように、
彼女はすっかり馴染んでいるから可笑しくてクスッと笑ってしまうと、
「あら、どうしたの?」と母親に言われて、
むせそうになると、
彼女がトントン背中を軽く叩いてくれて、
それを観て父親がまた、笑った。
穏やかな朝。
僕は嬉しくて泣きそうになるくらいだったけど、
それを誤魔化すように素っ気ない態度で、
今日はこの後、役所と病院に行くことを伝えた。
「美穂さんのご両親様は?」と母親が訊く。
「両親は二人とも他界したんです。
祖父母も他界してるので、
私、もう肉親が居なくて…」
「では、婚姻届の提出は、
私達も付き添おうか。
それくらいはさせて欲しいな。
病院まで押し掛けるのは遠慮するけど」と父親が生真面目な顔で言うから、
僕と彼女は目を合わせてしまった。
「ほら。
お前、スーツとか、出しておいて?
お前は何を着るんだ?
着物かな?」
「えっ?」
「記念の日だから、
写真館でも行こう」
「いやいや。
病院にも行くから、写真とかは…」
「いや、ダメだ。
子供が大きくなった時に観せることもあるかもしれないから、
写真くらいは撮っておこう」
「あのさ。
iPhoneで大丈夫だよ。
すごく綺麗に撮れるし。
美穂ちゃんが疲れたりする方が心配だから」と言うと、
母親も同意してくれた。
大人四人だと狭く思えた。
そして、ずっと前からそこに居たように、
彼女はすっかり馴染んでいるから可笑しくてクスッと笑ってしまうと、
「あら、どうしたの?」と母親に言われて、
むせそうになると、
彼女がトントン背中を軽く叩いてくれて、
それを観て父親がまた、笑った。
穏やかな朝。
僕は嬉しくて泣きそうになるくらいだったけど、
それを誤魔化すように素っ気ない態度で、
今日はこの後、役所と病院に行くことを伝えた。
「美穂さんのご両親様は?」と母親が訊く。
「両親は二人とも他界したんです。
祖父母も他界してるので、
私、もう肉親が居なくて…」
「では、婚姻届の提出は、
私達も付き添おうか。
それくらいはさせて欲しいな。
病院まで押し掛けるのは遠慮するけど」と父親が生真面目な顔で言うから、
僕と彼女は目を合わせてしまった。
「ほら。
お前、スーツとか、出しておいて?
お前は何を着るんだ?
着物かな?」
「えっ?」
「記念の日だから、
写真館でも行こう」
「いやいや。
病院にも行くから、写真とかは…」
「いや、ダメだ。
子供が大きくなった時に観せることもあるかもしれないから、
写真くらいは撮っておこう」
「あのさ。
iPhoneで大丈夫だよ。
すごく綺麗に撮れるし。
美穂ちゃんが疲れたりする方が心配だから」と言うと、
母親も同意してくれた。