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ex-girlfriend
第1章 僕の誕生日
「ついたよ」とメッセージを送ると、
すぐに彼女はマンションのエントランスから出て来る。


ドアを開けて助手席に座らせると、車を出して適当に走り出す。


彼女の好きな曲を静かにかけて、
程よいスピードで高速を滑るように進む。


「この前、会ったの、
いつだっけ?」

「んー。
覚えてない」と素気なく言うけど、
僕は鮮明に覚えている。


あの時は、
一人息子を旦那に取られて、
家から追い出されてボロボロになっていた。

本当に抜け殻みたいで、
そんな彼女を連れ出して、
ご飯を食べさせて、
ホテルで何度も何度も抱いた。


少し、意識が戻るような、
生身のオンナに戻るような様子を見て、
安心して眠って、ふと目が覚めると、
彼女は天井を見つめて静かに泣いていた。


あの頃と比べると、
今日は、まだ、だいぶ元気そうに見えて少しホッとする。



「次のサービスエリアについたら、
行き先の住所、教えて?
ナビに入れるから」と正面を向いたまま言うと、
頷いているのが目の端っこに見えた。

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