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第4章 彼女の結婚

「そしたら、母が入院した病院の担当医が…。
そこの病院の院長でもあったんだけど、
結婚を申し込んできたの。
父親くらいの年齢のヒト。
母を毎日見舞う私を観て、
一目惚れしたって言ってた。
大切にするからとか、
自分と結婚したら、
お母様は家族だから、
治療費も負担しなくて良いしと言われて。
ゆっくり考えれば良いってことで、
母の手術が終わって落ち着くまで待って貰ったの。
大切にしてくれるなら良いのかなと思ったし、
結婚するまで、紳士的だったし。
話をしたら、母はびっくりしてたけど、
私が決めたことならって言ってくれて。
でも、結婚式は挙げなかったのよ。
歳が離れているから恥ずかしいって向こうが言って。
未婚のお姉様が居るだけで、
あちらはご両親も亡くなっていたから、
入籍して、四人でお食事会しておしまい。
指輪は、お古みたいな昔ながらのダイヤモンドのを貰ったけど、
サイズが合わなくて結局、嵌めてなかったの。
暫く、母のことを看なくちゃいけないから、
最初は同居もしてなかったのよ。
あちらもお姉様が同居してたし、
私は退院後の母を実家で世話をして、
夫は時々、往診がてら来てくれたりして、
外でお食事したりするくらいだったから、
えっと…腕は組むけど、手は繋がないし、
軽いキスをするくらいで、
最初は何もなかったの」


ふーん。
こんなに可愛い美穂ちゃんと結婚して、
何もしないなんて、
変なヤツだな。

僕はそんなことを思っていた。