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ex-girlfriend
第5章 消えた彼女

弾き終わるとパラパラと拍手が起こってハッとする。
ひどく集中していたみたいで、
慌てて立ちあがろうとすると、
懐かしい彼女の声がすぐ後ろから聴こえた。
「小林くんのジムノペッティは、いつも聴いてると眠たくなっちゃうのよね。
もう一曲、弾いて?」
「サティで良い?
最近、あんまりピアノは弾いてなかったから、
難しい曲は弾けなくてさ」
「サティで良いよ?」
囁くような彼女の声を噛み締めながら、
『君が欲しい』を弾いてみた。
軽やかで少しユーモラスな曲。
曲が終わるとさっきより拍手が多くなった。
僕は立ち上がって振り返るとお辞儀をして、
彼女の手を取って指を絡ませるように手を繋いで空いてる席に座った。
メニューを手にする彼女は、
少しふっくらしていて、
前より顔色も良くて元気そうだった。
柔らかい素材の暖かそうなゆったりしたシルエットのワンピースが少女のようだった。
さっき、ピアノの勧めてくれたスタッフが近づくと、
彼女は和やかに注文をして、何かを話している。
やっぱり、北京語ではないなと思って、
なんて言ってるのか聴いてみると、
「小林くんのピアノ、素敵でしたねって。
それと、旦那さんですかだって。
あ、お茶代はピアノのお礼にするって言われたから、
それだと悪いし、
アフタヌーンティーセット、頼んじゃった。
お昼、食べる時間なかったから、
お腹空いちゃって。
小林くん、何時のフライトだったの?
お昼、食べた?」と、
のんびり歌うように訊いてきて、
やっぱり美穂ちゃんの話し方、落ち着くなと思った。
ひどく集中していたみたいで、
慌てて立ちあがろうとすると、
懐かしい彼女の声がすぐ後ろから聴こえた。
「小林くんのジムノペッティは、いつも聴いてると眠たくなっちゃうのよね。
もう一曲、弾いて?」
「サティで良い?
最近、あんまりピアノは弾いてなかったから、
難しい曲は弾けなくてさ」
「サティで良いよ?」
囁くような彼女の声を噛み締めながら、
『君が欲しい』を弾いてみた。
軽やかで少しユーモラスな曲。
曲が終わるとさっきより拍手が多くなった。
僕は立ち上がって振り返るとお辞儀をして、
彼女の手を取って指を絡ませるように手を繋いで空いてる席に座った。
メニューを手にする彼女は、
少しふっくらしていて、
前より顔色も良くて元気そうだった。
柔らかい素材の暖かそうなゆったりしたシルエットのワンピースが少女のようだった。
さっき、ピアノの勧めてくれたスタッフが近づくと、
彼女は和やかに注文をして、何かを話している。
やっぱり、北京語ではないなと思って、
なんて言ってるのか聴いてみると、
「小林くんのピアノ、素敵でしたねって。
それと、旦那さんですかだって。
あ、お茶代はピアノのお礼にするって言われたから、
それだと悪いし、
アフタヌーンティーセット、頼んじゃった。
お昼、食べる時間なかったから、
お腹空いちゃって。
小林くん、何時のフライトだったの?
お昼、食べた?」と、
のんびり歌うように訊いてきて、
やっぱり美穂ちゃんの話し方、落ち着くなと思った。

