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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第10章 3月11日の話
透真曰く ”小さい牧場”と言う
その牧場の説明に
どんな牧場なのかの想像が
つきそうでいてつかないままに

目的地に着いたのは
その施設が9時にオープンをして
少しした時の事だった

園内が広いからなのか
入り口のチケットブースに
こそ数人の人が居たが

ゲートをくぐると途端に人々は
それぞれに目的地に向かったらしく
人はまばらに見える程度だった

入口で受け取った園内マップを見ると
農園キッチンでは
バターやパンやピザ作りが出来たり

工房ではビーズのアクセサリーや
ジェルキャンドルと言った
体験系も充実してる様だった

噴水のある池では
夏場は子供達が水遊びが出来るらしく
木製の更衣室が近くに設置してあって

「ののか、ほら、見てよ。
ニジマス釣りが出来るんだってさ」

「釣らない」

「え?釣らないの?その場で
塩焼きにしてくれるらしいよ?」


「いちご食べに来たんだよ?透真。
それに、ニジマスにあんまり
いいイメージないんだけど?」

そう言いながらののかが
チラッとそのニジマスの池を覗き込んで

「だって、ここのは泥臭くて
生臭そうだもん、水がそんな臭いしてる。
ニジマスだったら、アッチの方がいいよ」

「ああ、前に紅葉を見に行った時に
寄った所の事?あそこは良かったよな。
確かに、見るからに清流だったもんな」

前に行った ニジマス釣りが出来る
釣り堀の事を言って来て
その時に食べたニジマスの
塩焼きと唐揚げの味を思い出す

「あそこで食べた、アマゴの
刺身は美味かったよな、また行くか…」

前に一緒に透真と丹波市にある
あまご村であまご料理のコースと
ニジマス釣りをして
釣ったニジマスを唐揚げと塩焼きにして
食べた事があるんだけど…
それがかなり美味しかったので
また行こうよと透真が話をして来て

ののかが…顔を上げると
視界にある物が入って来て
思わずギョっとしてしまった

「ねぇ透真、あそこ…に居る
大きい鳥って…まさかダチョウ?」

「ののか、ダチョウに
エサやり出来るんだってさ」

いちご狩りの予約は10時半からだと
言っていたのでそれまでの時間を
牧場の中をぶらぶらとしながら過ごす
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