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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第10章 3月11日の話

「よつぼしはね、私が好きな
かおり野の系統のいちごなんだよ。
スーパーにあるでしょ?熊本の
ゆうべにっていちご、それの
親の品種でもあるんだよ。
ゆうべにも美味しいよね?」

「好きだよな。いちご」

「いちごは好きだよ。
昔はいちごの最高峰は
あまおうだって思ってたの、
でも違ってたんだよ。
かおり野に出会うまでは」

うーんと透真が唸り声をあげて

「どれも、いちごじゃないの?」

「でも、いちご狩りのいちごが
スーパーのとは、比べ物にならないからさ。
ネットでアスカルビーとか、桃薫も
買ったけど、やっぱりその場で
食べるのが一番かなぁって」

「えっと、時間…半からだったよね?」

透真が自分の腕の
スマートウォッチで時刻を確認すると

「うん、そうなんだけどさ。
まぁ、時間まで10分前を
切ってるから、声掛けてみる?」

そう言ってスタスタと透真が
受付棟のコンテナハウスへ入って行って
ののかもそれに続いて
コンテナハウスの中に入った

「すいません。時間より少し早く
着いてしまいまして。
予約していた雨宮なのですが」

『あ、はい。ご予約の雨宮様ですね。
10時半から2名様で承っております』

受付の人に透真が軽く会釈すると

「いえ、今回は色々と注文を
つけさせて頂きまして、申し訳
ありません。ご対応ありがとうございます」

って透真 凄い余所行き仕様の
対応してると思うと吹き出しそうになるけど

あの表の看板の表記の内容だと
選べるのは1品種で時間も30分みたいだし
両方食べれるって言ってたから
2枠予約してくれたのかもなぁと
そのやり取りを見届けながら考えていた

『いえ、担当者の方が、複数品種の
食べ比べの出来る、コースの用意も
検討すると話しておりましたので。
ご利用者様からの、直接のお声を
頂けるのはこちらとしても、ありがたく
ありますから。あ、ご説明の方
させて頂きましてから。ハウスへの
ご案内となりますので。あちら側
お手洗い、お済ませなられましたら。
こちら、受付の右手のドアよりお進み下さい』

いちご狩りって先にと言うよりは
途中で行きたくなるんだよなぁトイレ

いちごは水分ばっかりだから
トイレ行きたくなるのは仕方ないけど

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