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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第10章 3月11日の話
『はい、畏まりました。
念のためのライフジャケットのみ
着用を依頼しておりまして。
今まで、沢山のお客様
こちらのカヤックご利用頂いておりますが。
一度も転覆した事はありませんので』

サービスのコーヒーと
ゆず茶を頂きながら簡単なレクチャーを
座学として10分少々受けて

それから店の裏手の砂浜に用意されていた

クリアカヤックを見て

ののかが透真の方を見て来る

「透真ッ!!コレっ
珍しいやつじゃん!底だけクリアの
クリアカヤックじゃなくて、
全部が透けてるやつっ!!」

『はい、そうなんです。
この近辺のマリンショップで
シーカヤックを扱っているショップさん
幾つか御座いますが、クリアカヤックは
当店だけの取り扱いになっておりまして。
でも、オンシーズンは大変人気なので
ご予約が難しくなっておりますので。
カップルやご夫婦にはサンセットの
ツアーも大変人気なんですよ~』

そう言いながらも
パドルの操作のレクチャーもしてくれる


「あの、他のお客さんは?」

『当店の方、1グループに
インストラクターが1人付く
システムになってますので…。
体験の開始時刻も、お客様のご都合に
合わせてのご案内になりますので』

しばらく間 波が穏やかな
浅瀬でパドルを漕ぐが

「あれ?こんな
カヤックって楽に進めるっけ?
何か昔、自然学校で乗ったのって
しんどかったイメージなんだけど。
木で出来た重たいやつでさ」

『ああ、そちらはカヌーですよ。
お客様。カヌーはパドルのブレードが
片側にしか無くて
交互に移動させて漕ぐ船になりますね
初心者には操作が難しい船になりますよ。
熟練者が乗り合わせて号令掛けて
進むならまだしも、初心者が乗り合わせても
上手くいきませんよ~』

しばらく浅瀬で練習すれば
すいすいと進める様になって

インストラクターの人のカヤックを
追いかけて案内や見えている魚の
説明を受けつつ沖へと向かう

海の中にある岩山の
トンネルの様な場所を
クリアカヤックで進んで行く

その途中途中でカメラで
写真を撮影してくれる

『お二人はご夫婦なんですか?』

「ええ、そうなんですよ。
先月、入籍をしたんです」

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