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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第11章 ホテルにて…*
自分の後ろに透真が居るから
私からはその表情は見えないけど…

きっと期待しながらも
ニヤニヤしてるんじゃないかって

「さっきえっちしてる時にさ、
ののか、何度も好きって
俺に…言ってくれたでしょ?」

びくっと透真の言葉に
ののかが反応する

「言ってないッ…、
言ってないッかなぁ~?
きっと、聞き間違い…じゃないかな?」

むにっ っと後ろから
両方の頬っぺたを摘ままれて
そのまま透真に引っ張られる

「ったく、素直じゃないんだから。
まぁ、普段素直じゃないんだから、
その分。素直になってくれたらさ。
俺は…嬉しいんだけど?ののか」

「ふぁなひてっ、ふひ、ふぁなひて」
(放してっ、口、放して)

「何を言ってるのか、分かんないけど」

「ひょうひゅひょうが、
ふぃふゃんひひゃひょ」
(透真がしたんだよ)

すっとその頬を摘まんでいた手が
頬から離れて 解放される

湯船の中で透真が
付いて居た手の上に
ののかが自分の手を重ねて

「で、でも、今日は…自分の
思ってる事…、伝えられてると
そう、思う……んだけど?」

「そうかもだけど。俺が
もっと、ののかに言われたいし、
ののかの言葉で聞きたいんだってば」

空いている方の手を
後ろから回されてそのまま
ギュッと片腕で抱きしめられて

甘い空気が流れてるのは 
気のせいじゃないはず

「えっと…、透真。
…今日はその、ありがとうね?
私が好きそうな事とか、場所とか
準備とか…さ、してくれて。
嬉しかったの。
それに、私を選んでくれた事とかもね。
ホラ、変な言い方だけどさ。
透真だったら、相手なんてさ、ある意味
選び放題だったわけじゃん?」

「言って欲しいとは言ったけどさ、
そんな所から感謝されるの?俺。
その言い方だったらさ。俺が
ののかには、勿体ないみたいになってない?
元々はさ、ののかと付き合いたいって
言い出したの俺の方でしょ?」

浴槽の中でののかが小さく
蹲って三角座りになると
ブクブクとお湯の中に自分の耳が
半分浸かる位に顔を沈めて

「あの時が…、たまたま
そうだった…だけだよ。
今は、そうじゃない…から。
それに、透真が、居てくれたら。
もう、それでいい…の」

「俺だけ…って事?」

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