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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第11章 ホテルにて…*
ラウンジや大浴場にでも行けば
この恰好の人しか居ない様な?
可愛げも何もない様な
備え付けの浴衣の何が彼を
そこまで掻き立てているのやら…

「どうする?夕食の時、
お酒飲む?折角だしさ
この辺りの地酒でも頼んじゃう?」

そう言いながら透真が
ドリンクメニューの
地酒が数種類書かれているのを見せて来て

「うーん、どれにするの?
地酒6種類もあるよ、透真は
濃淳辛口だよね?私は
淡麗辛口の方が好みだしなぁ」

「ああ、でも300mlなんだな。
なら、6種類で丁度一升になるじゃん」

「300×6で、1800?
確かに、一升だけど。でも
地酒…美味しいんだよねぇ。
6種類あるなら、飲んで置きたいかも」

そんな事を話している内に
部屋に案内してくれた仲居さんと
もうひとり 別の仲居さんが
夕食の準備に部屋に来て

飲み物についてどうするかと
尋ねて来たので地酒を6種類お願いした

運ばれて来た料理を見て

こっそり 今の宿泊プランを見たんだけど

和牛の石焼きと鮑の陶板焼きと
旬の魚のお造りがメインのコース

のプラン…なんだろうけど

でんっとテーブルの中央に
船盛りが鎮座していて
確かそのプランならお造りは4種盛なハズ

食前酒の小さなグラスには
コロンと丸い赤い何かが入って居て

あれ?これ…色も赤いし
梅酒じゃない…な

『本日の食前酒、
地元のヤマモモを使った
当ホテル自家製のお酒になります』

ヤマモモ酒…

「ヤマモモ酒…か、
綺麗な色してるんだな」

そのヤマモモ酒の隣に
本日のお品書きがあるんだけど

達筆な文字で書かれた

手書きのお品書き

普通 印刷されてるよね?お品書き

でも その内容に凄い気になる項目があって

水物の所…所謂デザートなんだけど

季節のフルーツと???って
その???って何??

多分…この手書きのお品書きと
ここに来た時に仲居さんに渡してた
心付けの意味…が繋がった気がする

だって その証拠に

目の前の透真がすっごい笑顔だから

「ののか。食べないの?
まずは、乾杯しようよ」

「ねぇ、どこまでなの?
ヤマモモ酒は違う?たまたま?
美味しいよね?ヤマモモ酒。
これは、そうだよね?」

そう言って 中央の船盛りを

ののかが指さした

「いいでしょ?船盛」

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