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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第11章 ホテルにて…*
そうなんだよ おかしいって
そう思ってたんだよ
サービス料込みなのに

どうしてわざわざ
そんな事したんだろうって

でも プランの食事のアップグレードは

こっちが追加料金払うんだから

そこに要らない…はず

じゃあ あの心付けは…別の何かって事で

「ごめん、コースの内容見ちゃった。
折角のご馳走だもんね、乾杯しよっか」

「うん、乾杯」
「乾杯」

チンッとお互いのヤマモモ酒の
グラスで乾杯をして
赤味を帯びたそのお酒に口を付けた

「はぁ、美味しい。
ヤマモモ酒、控えめに言っても
最高…すぎる。美味しいね、透真。
食前酒って、梅酒の所がほとんどだから
ヤマモモ酒は珍しいよね」

「甘いには甘いけど、旨いなこれ」

『こちら、鮑の陶板焼きと
地元の和牛の石焼の方、固形燃料に
火の方入れさせて頂きますね。』

「はい、ありがとうございます」

予め並べられ居た先付けの
前菜の盛り合わせを頂きながら

注文していた地酒が届くのと
和牛を焼く石板が温まるのを待つ

『和牛の方、そちら自家製のタレと
岩塩の方とわさびご用意してありますので
お好みで、お召し上がりください』

一度下がっていた方の
仲居さんが地酒と
グラスを持って戻って来て

『では、こちら、地酒の方になります。
後程、茶わん蒸しの方、お持ち致しますので。
ごゆっくりと、お召し上がり下さい』

「透真、濃淳のやつ…注ごうか?」

ののかが地酒と一緒に届いた
冷酒のグラスを透真に渡すと
透真の好みの味の日本酒をグラスに注いだ

「じゃあ。俺からもお返しね」

そう言うと もう一つのグラスを
ののかに透真が手渡して来て
淡麗辛口の地酒をトクトクと注いでくれて

満たされたグラスでもう一度乾杯をすると
グイと透真は一気にそれを干してしまって

「これ、旨いな」

「もう、お気に入り見つけたの?
あ、でももう1本、濃淳辛口の
あったよね?そっちも開けちゃう?
どうせだったら、飲み比べたら?」

「それもだけど、そっちは?」

「ああ。こっち?淡麗だから
スッキリしてて軽い飲み口だし、
後味がキリっと締まる感じかな?
飲みやすいから、
飲みすぎちゃいそうだけど」

「酒も美味いし、料理も美味いし。
飲み過ぎちゃってもいいよ?ののか」


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