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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第11章 ホテルにて…*

「えっと、これでいい…の?」

「ん?ののか、どうしたの?
そんな顔をしてさ、落ち着かないの?」

ソワソワとしてしまって
彼の膝の上でもぞもぞと
無意識で動いてしまっていた様で
それが彼の方にも
伝わってしまっていたらしい

その…私が 彼の胡坐の上に
座って居て 自分の座る位置を
調整してた…理由って言うのは…

「え。だって…ちょっと…ッ、
落ち着いて座って居られないと言うか」

「そう?俺は気のせいだと
思うけどな~。プリン食べる?
俺がののかに食べさせてあげる」

私が気にしてる事を気のせいだと
言う様に透真が言って来て
自分のスプーンでプリンをすくうと
ののかの口元まで持って来て

促されるままに口を開けると

口の中にプリンを放り込まれる

もぐもぐとプリンを咀嚼して嚥下すると
また新しいプリンを口元に持って来られて

あーんと口を開くと
透真が新しいプリンを
ののかの口に入れて来るから

それをまた もぐもぐと咀嚼していると
既に次のプリンをスタンバって居て

片手で自分の口を塞いで
反対側の手を振ると
口を手で押さえたままで

「いいよ、透真もプリン食べてって。
そんな、無限プリン
してくれなくていいからっ」

ニコッと私の顔を見て笑っている
透真の顔を見て居ると

えっと…とののかが言葉の
続きを濁らせてしまって

「俺も、食べたいんだけどさ。
ののか、俺にプリン食べさせてよ」

「どうせ…、透真の事だから。
そんな事だろうと思ってたし」

ののかがテーブルに置いていた
自分のスプーンを手に取って
プリンをひと匙掬い取ると
透真にその先を向けて

「はい、透真。あーん」

「あーん」

透真が口の中に入れた
プリンを飲み込むのを見守って

もっと食べたいのかなと
次のプリンをすくうと

「もっと、食べさせる?はい」

「ん」

新しいプリンも透真が
口を開けたのでその中に入れる

そのまま もう2口ほど食べさせて

「こんな話…聞いたことある?
さくらんぼのヘタの柄の所を
舌で結べたらキスが上手い、
とかってさ、言うやつあるじゃん?」

「飲み会の芸と言うか、
小ネタみたいなやつ?」

プリンと一緒に盛り合わせてある
フルーツの中に缶詰の
さくらんぼを見つけて
透真がそんな話をして来る

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