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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第4章 2月13日の午後の話

「けどさ、仕事辞めますで
急に辞めれないしさ。
ののかが妊娠しちゃう前にさ、
考えておくべきなんじゃない?」

こんな話をしていると
私達 結婚…したんだなって
急に自覚してしまう

「複雑…そうな顔してるけど?」

「うん、まぁ…ね。
ほら…、私はさ小野寺から
雨宮になった訳でしょ?
名前の変更の方々の手続きとかもあるし。
生命保険とか…、受取人をさ
透真の名前に変更とかしないと。
でも、私の保険…早く死なないと
沢山保険金降りないんだけどねぇ~」

結婚したらしたで
考えなくちゃいけない現実が
多いよなぁって

コロナが落ち着いたら
結婚式とかもって考えてるし

「結婚式…は、本当の身内だけ?」

「入籍は済ませたんだし、
結婚式は内々だけでするにして…も、
職場の人とか招待して、披露宴らしい事は
いつか…にはなりそうだなって。
ほら、ののか、目的のラブホ着いたぞ」

そう言われて顔を上げて
目の前の建物を見てみる

その外観はどっちかと言うと
ラブホテル~って感じの
如何にもな感じじゃなくて
シンプルでマンションの様な外観だ

駐車場に車を停めるとエンジンを切って

透真がトランクから
キャリーバックと
サブバックを出してくれて
そのまま運ぶかと聞いて来る

「大丈夫、キャリーバックだから
自分で持てるから大丈夫」

キャリーバックを押しながら
ホテルの中に入ると
入口のタッチパネルの部屋の
空室状況を見て埋まってる部屋が多いから

やっぱりまだ早い時間だけど
土曜日だからそれなりに埋まってるんだな
なんてぼんやりとタッチパネルを眺めていると

下から101 102…と番号が振られていて
上に向かって行くほどに
部屋のグレードが上がる様で
タッチパネルの下のお値段も上がる感じだった

上に行くほど 部屋の設備も充実してるけど

「ねぇ、透真。透真がさ
思ってた部屋って…もしかしてと
思って訊ねるんだけど…
もしかしても、もしかしなくてもあそこ?」

そう言って一番上の段に
1つだけパネルがある他の部屋とは
明らかに部屋の広さも内装も
料金もズバ抜けている部屋があって
ののかがその部屋かと透真に尋ねた

「けどさ、見てよののか。
この広さのクラスの部屋にだよ
普通に泊まるんだったらさ」
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