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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第4章 2月13日の午後の話
ベランダに続くドアをののかが開くと
高い壁に囲まれて外からは
見えない様になっているが
上は解放的で空が広がって居て
そこにあったのは
5~6人は入れそうな
大きなジェットバスだった
その隣にはプライベートガゼボがあって
ちょっとしたデイベットの様になった
屋根付きで半球状になっている
その半球状の屋根の部分は白くて
中は一面が赤のクッションで
大きなビーズクションが置いてあって
円形のローテーブルに出来る板が
設置されているからここでお酒も飲めそうだ
「透真!ベランダに露天風呂あるんだね、
凄いっ広いし、湯上りのガゼボもあるし
寒い季節なのが勿体ない位だけど」
「部屋の風呂はもう見た?」
「え?お外だけじゃなくて
この部屋、中にもお風呂あるの?」
「あるけど?
俺がここを選んだ理由はさ
あの、ベランダの風呂じゃなくて、
こっちの部屋の中の風呂にあるから」
探しておいでと言いたげに
そう透真に言われてしまって
「ねぇ、透真、この部屋ってさ」
「めっちゃ、広いでしょ?
スイートルーム並みじゃない?
100平米あるらしいよ?良くない?」
正直 数人で来てるなら
丁度いい広さだろうけど
広すぎてどこに居たらいいのか
分からなくて落ち着かないと
ののかは内心考えていた
透真がお風呂を見ておいでと
言われた通りにののかが
部屋の中の浴室を見に行って
バタバタと足音をさせながら
小走りになって慌てた様子で
興奮気味になりながら戻って来て
そのままの勢いで
ガバッと透真に抱き着くと
「透真ぁ~、ありがとう~」
「その様子だと、どうだったって
ののかに聞くまでもない感じ?
どうせ、時間があるんだしさ。
一緒に入らない?サウナと岩盤浴」
「それも岩盤浴、
ふたりで一緒に出来るやつだった~」
そのまま喜びを伝える様にして
ぎゅううっと透真に抱き着いた
「コロナの騒ぎになってから、
好きだったサウナと岩盤浴も
密室だからって、遠慮して
ののか行けてなかっただじゃん?
ここでならさ、誰かと
岩盤浴も一緒になる事もないし
好きなだけ、時間も気にしないでさ
ののかが楽しめるかと思った訳」