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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第4章 2月13日の午後の話

「ねぇ、透真。
私まだビール飲んでるんだけど?」

「それは知ってるし見たら分かるって。
俺の事は気にしなくていいから、
ののかはビール飲んでて良いよ?」

そう言いながら透真が
ののかの背後に回って来ると
指先が項に掛る髪をかき分けて
彼の唇が項に触れて来る

「それとも、手伝った方がいい?」

「手伝うって、
ああ、飲んでくれるって事?」

ののかが透真の
手伝うの意味をそう解釈して
身体を向き直ると

自分の方へ透真が手を出して来たので
ののかが自分が持っていたグラスを
透真に差し出した

「確かに俺は、手伝うとは言ったけどさ
代わりに飲むとは言ってないよ?」

じゃあ なんでグラスこっちに
寄こせってして来たの?
そうののかが疑問に思って
何をするつもりなのか悟った時には
グラスを持ってない方の腕を
身体にしっかりと回されていて

「あの、と、透真?何を…」

「手伝うだけだけど?」

そう言ってグイっと自分の口に
透真がビールを含む

顎を持ち上げられて口を開かされて
そのままそれを流し込まれるけど

当然 私の一口の量には多すぎて

口の端から零れたビールが

顎を伝って胸へと伝い落ちて行って

ゴクンと私が喉を鳴らして
それを飲み干したのを確認すると

そのまま 口の端から
伝って落ちたその液体を
丁寧に透真の舌に舐め取られて行って

バスローブの上から
彼の手が胸を支える様にして持ち上げて来て

伝って落ちて行ったビールが流れ込んだ
胸の谷間の辺りに舌を差し込まれる

「ののかもさ、
ビールに合う…んじゃない?」

「人を…枝豆か何かみたいに
言うの止めて欲しんだけどっ…」

「残りも…飲むよね?
温くなるのは、勿体ないって
言ったのののかでしょ?」

透真が先程よりも控え目に
残って居たビールを口に含むと

そのまま唇を塞がれて
それを流し込まれながら

口の中で ビールの味が
広がって行って鼻の方へ抜けて行く

ちゅ…くちゅ…と絡まされた舌に
お互いの唾液と飲む込むのも
ままならないビールの味が絡む

口の端から零れるのは

ビールなのか…それとも…

ビールに酔ったりなんてしないのに
そのキスに眩暈を憶えてしまって

安物の酒を大量に煽った時の様に
ふわふわとした浮遊感を憶えてしまって居た

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