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雨宮さんちのバレンタインとホワイトデー
第7章 2月14日の話
透真がハートの形を作っている
輪郭のバラを1輪手に取って
そのバラに鼻を近付けると

そのままそれをののかの方へ
差し出して来て嗅ぐ様に促される

ののかがその赤いバラに
促されるままに鼻を近付けると

「そうだよね、でないと傷んじゃうし。
ソープフラワーだったんだ、でも、
なんからしい感じがしていいかも…」

「記念日のサプライズで
ありがちな演出だけどさ、
有料サービスのイメージだけどな」

そう言いながら階段を下って行って
リビングのテーブルの上に置かれていた
ハート型の紙とその傍らに置かれていた
畳んだハンカチ位のサイズ感の
金色の袋に入った何かを
透真が自分の手に取った

「ののか、これ、ほら。
メッセージカードがあるよ?
普通のホテルにはある所もあるが。
ラブホテルで手書きのカードがあるのは
珍しくない?そのベッドのバラは
バレンタインイベントの一環らしいよ」

そう言って読んでみろと
ののかにメッセージカードを差し出して来て

透真の手からそれを受け取りながらも
ののかはさっきから
透真の手の中にあるそれが気になった

「その金の袋は?」

「これは、ホテルからの心ばかりの
バレンタインのプレゼントなんだって」

メッセージカードに目を通しながら
ののかが透真に声を掛けた

「ねぇ、それさぁ。何が入ってるの?」

メッセージカードには11日から14日の
期間はバレンタインのイベントを
やっていて 幾つかのプレゼントや
サービスを用意していると言う旨の事が
プリントアウトの文字で書かれていて

その印刷文字の下に手書きで

”素敵なバレンタインをお過ごしください”

と書き加えられている

「後、ノートもあるよ?
自由に書けるやつ、記念に書いて行く?」

この部屋を利用した人が
感想を書く為のノートがあって

ご丁寧にカラーペンと
色鉛筆まで添えてある

パラパラとノートを捲っている透真に

「透真。あれは?さっきのさ
金色の袋の中身何だったの?」

「見たい?」

「見たいよ、気になるじゃん」

「使う?折角のサービスだし」

そう言って封が開かれた袋を
こちらに差し出して来たので
その中身を受け取って確認すると

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