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P.S. I love you
第1章 P.S. I love you
その後文芸部に移った僕は、
すぐに君を引き抜いた。

君が、
本当は書籍に携わりたいという希望があるのを
知っていたから。

希望していた部署に異動した君は、
生き生きと仕事に取り組んでいた。

悔しい思いをしているときも、
君は涙ひとつ見せず、
顔色一つ変えずに乗り越えた。


あまりに優秀で冷静だから、
同期には一目置かれて、

特に男性陣は君を「高嶺の花」扱いするようになったのはこのころだね。


美しく、おしゃれで、優秀。
感情をあらわにせず、冷静沈着。


そんな隙のない君が、初めて焦りを見せたのは、

同期で同じ名前の「白石紀子」が文芸部に配属されてからだ。



編集会議で、
出版事案を決定するのに
いくつもの原稿をふるいにかけた結果、

最終的に君と白石紀子の企画が残った。



そのときの君の表情は、今も忘れられない。


ひきつった目元に、
いつになく瞳は潤んで見えた。


僕の目からすると、
あの時の君はひどい緊張で、
今にも心がちぎれそうに見えた。


君を別室に呼び出して、話を聞いたね。

そしたら君は言ったんだ。



「編集長、助けてください。
震えが止まらないんです」




君がその時の企画に、二年の準備を費やしてきたこと、
本気で世に送り出したい書籍を作ろうとしていたことを知っていた。


ここで新人の白石紀子の企画に負けたらひとたまりもない。


没になれば、

これまで積み上げてきたものが無駄であったと烙印を押される気がしたのだろう。
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