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君と偽りのドライブに
第9章 1‐8:知らない顔
枕が違って眠りが浅かったのだろうか、真っ暗な部屋で目を覚ました。
まだ夜だという感覚の中、手探りで枕元のスマホを捜す。
スマホが示す時刻は深夜二時だった。
画面の明かりでぼんやりと部屋全体が照らされ、哲弥に悪かったな、とベッドの下を見ると、布団がもぬけの殻になっていた。
「……哲弥?」
トイレなどではないことは一目瞭然だった。
敷布団以外、枕も掛け布団も姿を消していた。
私はベッドから這い出して、床に足を降ろした。
フローリングはひやりと冷たかった。
スマホの明かりを頼りに私はスリッパを履き、部屋を出た。