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君と偽りのドライブに
第9章 1‐8:知らない顔
ああ――わかっていた。香澄ちゃんにはバレている。
でも、けれど、じゃあ、つまり、彼もそれを望んでいるということでいいの?
「有紗」
彼がそう囁き、薄いパジャマ一枚隔てた私の体を、輪郭を確かめるようにゆっくりなぞる。
肩を、二の腕を、脇腹を、腰を、彼の熱い手が辿っていく。
「……あり、さ」
私の体は、心臓が拍動するので精一杯のようだった。
声も出ないなんて、まさか、中学生じゃあるまいし、初恋でもあるまいし――
「今ここで襲ったら、引く?」
彼の問いに、私はなけなしの理性と声を振り絞った。
「まあ……引くかな」
彼の手が私のパジャマの裾のあたりでぎゅ、と拳を握り締め、巻き込まれた借りもののパジャマが皺になってしまいそうだった。
彼がゆっくりと、私から離れるように、私から自分を引き剥がすように腕に力を込めた。
私の理性もこれが最後の一滴だった。私は震える唇を開き、
「リビングじゃ、ちょっと……ね?」