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君と偽りのドライブに
第9章 1‐8:知らない顔
彼の顔を覗き込もうと身を乗り出していた私は、あっという間に背中をソファの背もたれに押し付けられた。
哲弥が私に覆い被さるように跨り、私の肩に顔をうずめる。
私は為すすべもなく、されるがままになっていた。
「俺のこと、男として見てよ」
彼の熱い吐息が、首筋に掛かってくすぐったかった。
私の口がきけない間に、彼はまた続ける。
「有紗」
みんなが寝静まったこの時間、当然に声は潜められているのだけれど、その吐息が混じった音は、今は意味合いが違って聞こえた。
「香澄ちゃんが、有紗のこと脈アリって言ってたけど」
彼が低い声を耳の近くでそっと漏らすものだから、全身がかっと熱くなる。
「どこまで信じていいの」