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君と偽りのドライブに
第2章 1‐1:突然のディナー
哲弥とは小学生のときから家が近所で、よく遊んでいた。
インドア派の彼と私では、放課後の使いかたはまったく違ったけれど、暇になったら話し掛けるのも、だいじな秘密を相談するのも、決まって彼だった。
地方の小さな田舎町なので、中学までは当たり前に地元の公立校に一緒に通った。
高校と大学は学校が離れたけれど、定期的に会ってお茶したり遊んだりするのが当たり前になり、不思議と私たちの縁は切れることがなかった。
そして現在、社会人になった私たちは、揃って最寄りの地方都市に就職し、それぞれ一人暮らしをしながら、月に一回ぐらい食事をする仲に収まっている。
向かいのテーブルでフォークを動かす彼を窺う。
いつもとよく似た、二人での食事。
けれど今日は、いつもとは様子が違った。
とある秋口のことだった。
仕事帰りのスーツ姿の彼は、見慣れたはずなのに、妙にかっこよく見えた。
きっと背景が影響しているのだろう。
普段よりもちょっとお洒落なイタリアンレストラン。
いつもは、そこらへんの適当なファミレスか定食屋なのに。
私も彼もお酒はそんなに嗜まないし、食にそんなにこだわりもないので、高校生みたいな店で充分満足していた。
そもそも、普段二人でごはんを食べるのはだいたい月末なのに、先月末から二週間とあけず誘われた時点で、何かあるなと思っていたのだ。