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君と偽りのドライブに
第10章 1‐9:二人のベッド
私を抱き込んだまま立ち上がった哲弥に巻き添えを食う形で私も立ち上がったけれど、彼はすぐにふらついて、私にしがみついた。
ああ、この人、相当酔ってる。
明日の朝になったら全部忘れてるなんてこと、ないでしょうね。
私を抱き上げようとする彼を押し留め――そんなことしたら、階段でどちらかが骨折して、入院患者を一人増やすことになる――私と哲弥はくっついたまま彼の部屋に戻った。
「ビールの缶は、」
私が言いかけると、
「終わったら片付ける」
皆まで言わせず彼は先を急いだ。
明かりをつけないままの彼の部屋で、ベッドの上に私を押し倒し、覆い被さるように私に顔を近づけ――
「……ゴム買ってくる」
すんでのところで彼は動きを止めた。
「ないの?」
「持ってきてない。そんなつもりなかったから」
彼がベッドから降り、明日も着るつもりで脇に畳んであったジーンズを取り上げる。
その動作ひとつひとつも覚束ない。