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君と偽りのドライブに
第10章 1‐9:二人のベッド
「待って、私も行くよ」
「なんで」
彼は不機嫌そうにそう言った。
「すごい危なかっかしいもん。そんなふらついてちゃ」
彼ははたと私を見た。
「俺、もしかして酔ってる?」
「かなり」
そう答えると、彼はそのままのポーズで俯いて、しばらく考えたあと、
ジーンズから手を離した。
ジーンズはくしゃくしゃと床に落ちた。
「やめた」
驚く私に構わずベッドの上にまた這い上がり、私と壁の狭い隙間に潜り込むと、私に後ろから抱き着いて、掛け布団を被った。
「ちょ、哲弥」
「はじめては酔ってないときがいい」
私の首筋に彼は顔をうずめ、
「おやすみ」
えっ……まさか、このまま寝る気?
腕を解こうとするも、びくともしなかった。
「哲弥、ビールの缶は」
辛うじて腕の位置を変え、彼を叩くと、返ってきたのは寝息だった。
……嘘でしょ。
どうしろと。
この状況で、私も寝ろと?
太ももの裏に押し当てられた、硬くて熱いものが何なのか、考えずに、ただ寝ろと?
「……無理だよ」
私の呟きは、暗闇に虚しく霧散した。
私は結局、カーテンの隙間が白っぽくなるまでうとうとすることもままならなかった。