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君と偽りのドライブに
第11章 1‐10:翌朝
彼の実家を出発するときも、サービスエリアで軽く昼食を摂る間も、彼は何度も自分が運転すると進言したけれど、私は頑として拒否をした。
昼食とは名ばかりの、ウィダーしか啜る元気がない人に任せるぐらいなら、自分で運転したほうがましだ。
「もう二度と酒は飲まない」
ふてたようにそういう彼に、哲弥が言うと本当に守りそうだと笑うと、彼はますます仏頂面をした。
「じゃあ、今度ドライブにでも連れてってよ」
そう言うと、
「……それは、デートということでいいの?」
どうやら、昨夜の記憶はちゃんとあるらしい。
「デートがいい?」
ちょっと意地悪を言いたくなってそう返すと、彼は捻りも何もなく、
「デートがいいです」
横目で見た彼の耳は赤かった。
「じゃ、デートってことで」
彼より上手くない私の運転は、順調に私たちを日常へと運ぶ。
昨日までと同じ、けれど昨日までとは少し違った日常へ。