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君と偽りのドライブに
第11章 1‐10:翌朝
「有紗お姉ちゃんが起きるまでに復活するって言ってたけど、こりゃ無理だね」
香澄ちゃんはこの状況を楽しんでいるようで――そういえば。
「昨日、哲弥に何か言ったの?」
「ん? 大したことは言ってないよ? 強いて言えば……」
香澄ちゃんは思い出すように斜め上を見て、
「今夜襲っちゃえば? ぐらい」
……それは、充分「大したこと」である。
「香澄ちゃんはどういうポジションなの」
少なくとも彼女は、私と哲弥が本当には恋人でないと知っていたのだ。
私が問うと、香澄ちゃんは悪びれもせず、
「神視点」
そう言ってブイサインをして去っていった。
あとから哲弥に聞いたところによると、香澄ちゃんは、彼が私を好きであることをずっと知っていたらしい。
私たちが高校生のときにバレて以来、唯一の相談相手であり、今回の計画の発案者。
帰りの車の中で、哲弥がそう教えてくれた。
ちなみにお父さんとお母さんとおばあちゃんは、何も知らないということだ。
帰り道、運転は私が代わって、哲弥はずっと青白い顔で車窓を眺めていて、具合が悪くでもなければ――もしくは酔ってでもいなければ――俺が有紗を好きなことを、なんてさらりと言えるわけがない。
二日酔いも悪くない。
なんて言ったら哲弥にものすごく睨まれそうだけど。