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君と偽りのドライブに
第12章 2‐1:デート



 翌日の月曜日には、哲弥から連絡が来た。

「直近であいてる休日を教えてください」

 相変わらず生真面目な無駄のない文章で、彼のことをよく知らない人ならもしかしたら素っ気なく感じてしまうのかもしれないけれど、私はちょっと笑ってしまった。



「今週の土日、暇だよ。ごめんね、基本暇なつまんない社会人で」

 冗談交じりでそう答えると、彼の返事は「助かります」だった。



 土曜日の昼前、お見舞いの日と同じぐらいの時間帯に、彼は迎えに来た。



 山に行こう、ということだけ聞いていた。
とはいっても、もちろんガチ登山というわけではない。

街の端っこに車で越えられる峠があって、そこに軽く公園や、舗装された遊歩道や見晴らしのよい展望台があって、お散歩気分で楽しめる――らしい。

実は私、この街に五年住んでいながら、行ったことがなかった。彼はたまに歩きに行くらしい。



 お見舞いのときはパンプスだった私も、今日はスニーカーを中心にコーデを組み立てることになった。
モスグリーンのキャスケットと、もう秋とはいえ日焼け止めも忘れない。

車を運転する彼はというと、革靴がスニーカーになった以外は、先日とほぼ見た目に変化なかった。

別にダサくはないんだけど、特段おしゃれということもない。
興味ないんだろうな、ということは、なんなら中学生のころから知っていた。


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