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君と偽りのドライブに
第12章 2‐1:デート
「サンドイッチ、二パックでいい?」
「……サンドイッチ二パックと、もうちょっと何かおなかに溜まるもの買いたい」
彼は耳を赤くしたまま、平気な振りをして会話に乗った。
「好きなの選んでよ。私飲みもの取ってくる」
「俺にもなんか取ってきて」
「何がいい?」
「じゃあ、無糖の紅茶」
「おけ」
甘い会話も新鮮だけれど、これくらい普通の会話でいい。
私と哲弥なんだから。
「帰りはラーメンでもいいよ」
「帰りは……一応、考えてあるので」
考えてくれてるんだなあ。
「ありがとう」
「……いや」
哲弥が目を伏せる。彼のその仕草は昔からよく見るけれど、その意味が今、はじめてわかった気がした。