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君と偽りのドライブに
第12章 2‐1:デート
「哲弥と私じゃない。今さら気張ったって」
「有紗と俺でも――俺は」
彼が目を泳がせて逡巡する。
「――俺は、有紗のこと、ちゃんと……だいじにしたいと思ってるよ」
ああ――ずるい、そんな言い方。
不意打ちだ。
「……わかってるよ、だいじにしてくれてるって」
「付き合って一週間で何を」
不貞たような彼の声で、私はサンドイッチから視線を外し、斜め上の彼の顔を覗き込んだ。
目が合った。
私の悪戯心が顔を出した。
「一緒の部屋で寝るの、避けようとしてくれたり、とか?」
すっと彼のほうが目を逸らす。
その耳があまりにも赤いから、もっと虐めたくもなってしまうけれど、さすがに私と哲弥の仲だ。
これ以上茶化すと塞ぎ込んでしまうことも、私は知っている。