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君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング
私の手は、彼の頭を撫でた。彼がぎゅっと目を瞑った。
「……先に言うなよ」
「だって哲弥が言わないから」
この人のことを好きだって、今まで気づかなかったのが不思議でしかたがない。
けれど……何となくわかっていた。
気づかなかっただけで、気づかないようにしていただけで、私はきっとずっと彼の隣にいるのが心地よくて、この先もそうでありたいと思っている。
「……俺も、好きだよ」
哲弥は観念したように、息を吐く勢いに任せるように言った。
「付き合ってくれますか」
「もちろん」
彼の拳が徐々に緩んで、肩の力もゆっくりと抜けていくようだった。
「……ありがとう」
「こちらこそ」
私が微笑むと、彼もぎこちなく微笑み返してくれた。